
舗装工事
アスファルト舗装工事

道路の舗装整備には、アスファルト合材がよく使われています。アスファルト合材とは、アスファルトに骨材を混ぜ合わせてフィラー(つなぎ)を加えたものです。工事期間が短く工事費用もコンクリートと比べると安価なため、日本の一般道路では高い普及率となっています。
アスファルト工事の種類
アスファルトの舗装工事には色々な種類があります。
密粒舗装
一般道路に普通に使われているアスファルト舗装を、密粒舗装といいます。雨が降った時に表面に、雨水が見た目でも分かりやすく浮かんでいるのが、そのタイプのアスファルトになります。
排水性舗装
水はけがよくなるように、多孔質のアスファルト(ポーラスアスファルト)を表面に敷き、排水を促すよう加工されたアスファルトが、国道や高速道路などでよく施工されています。これを排水性舗装といいます。路床→路盤→不透水アスファルト→ポーラスアスファルトの順番に重ねていく舗装です。自動車のタイヤが水たまりで空回りを引き起こすハイドロプレ―ニング現象を防ぎ、さらに路面が雨水で反射しないため、ドライバーの視認性を向上させる効果があります。
透水性舗装
地中に、雨水を浸透させて流し込むようにする舗装です。表面に多孔質のポーラスアスファルトを敷きます。路面に雨水が溜まらないのは、排水性舗装と同じですが、地盤がもろくなる恐れもあるので、国道などの自動車が通る道路には使われず、歩道などによく使われる舗装方 法になります。施工することで路面が滑りにくくなり、雨水が自然と地面に浸透することで自然環境を改善する効果が期待できます。ちなみに不透水のアスファルトだと、水が地中に流れないため、環境には余り良くないとされています。
アスファルト舗装工事の流れ
アスファルト工事は、地面を慣らし、固めて、補強をし、アスファルトを敷いていき、また固める、といった流れになります。次では、路床の整正から転圧、アスファルトの舗装までを順番に説明しています。
路床整正
路床とは、路盤の下の層に位置する基盤土台で、砂を敷き詰めて締め固められた層のことをいいます。路床用の砂を敷き、ブルドーザーなどの整地用重機を使って均していきます。
路床を締め固める

整地用 重機を使って砂を敷き、均一の密度になるよう締め固めていきます。路床の締め固めには、大型の工事ならロードローラーが使用されますが、小さい面積の工事の場合は、プレートコンパクターなどの転圧機器を使います。凸凹が残ったり密度が揃わないと、後々アスファルトが割れたり不陸が発生する原因になりますので、しっかりと処理を行う必要があるポイントです。
路盤の入れ込み・整正
路床の上に、路盤という道路の支持基盤層を築造していく工程になります。道路の路盤には、下層路盤と上層路盤があり、それぞれを別の工程で仕上げていく作業です。下層路盤は路床の上に敷かれる層で、ここにはクラッシャーランと呼ばれる砕石を敷き詰めて転圧が行われます。
下層路盤の築造が終わると、今度はその上に上層路盤を敷いていく工程です。上層路盤には、砕石の大きさを一定の範囲で揃えた粒度調整砕石が使われます。この路盤材は石の粒が均一なため、下層路盤よりも密度の高い層が出来ます。
アスファルト乳剤の塗布
それぞれのアスファルトを重ねて敷いていくだけでは、外圧が加わることで剥がれてし まいます。剥がれないよう、石とアスファルト、アスファルトとアスファルトを接着するのがアスファルト乳剤です。この乳剤は、アスファルト工事には必ず用いられるものとなっています。
アスファルト敷均し
アスファルトを搬入して敷均しをしていきます。この時のアスファルトは150度前後の高温になっていますので、怪我に気を付けて作業をおこないます。温度が低下しない内に一気に敷いて均していかなければなりません。そのため、広範囲に敷けるフィニッシャーという車両を使って敷き均していきます。アスファルトの温度が下がると、転圧の効果も下がってしまいますので、迅速な施工が求められます。
アスファルトの転圧

ローラー車を使って、アスファルトを締め固めていきます。ちなみに道路には、通常、基層と表層の2つのアスファルト層を造る必要があります。それぞれ、施工をして転圧するのですが、基層を造った段階で今度はアスファルト同士を接着する乳剤を散布してその上に表層を敷いていきます。ちなみに、国道なら基層と表層の真ん中に中間層を設ける規定があり、より厚みがあり頑丈に造らないといけません。
工事完了
アスファルトの温度が下がれば、道路の完成です。アスファルトは温度が50度以下まで低下すれば硬化するので、コンクリートと比べて早く工事が終わり、すぐに車両が通れるようになります。後は、機材を撤収して点検を行い工事は完了です。
コンクリート舗装工事の特徴

コンクリートの路面は、丈夫で紫外線にも強く劣化しにくいという特長があります。メンテナンスコストを減らすために、駐車場の路面に用いられることが多いのですが、舗装完了までに工事日数を要するので、交通量の多い道路などでは長期間通行止めに出来ないため、施工しやすいアスファルトの方がよく使われています。コンクリートとアスファルトは、それぞれ特徴に一長一短あります。
コンクリート路面の特徴
コンクリート舗装に使われる生コンは、水、砂、砂利、セメントを混ぜ合わせたものです。生コンは打設してから大体、30日間以上の養生期間を置くことで硬化していきます。頑丈であり、劣化しにくいという特長があり、重量の大きな車両が頻繁に通るような主要道路に施工されていることが多いです。
ただ、長期間に渡って乾かさないといけないので、交通量の多い道路では、すべての路面にコンクリートを用いるわけにはいかず、施工してから割とすぐに車両が通れるようになるアスファルトの方が、道路では多く普及されています。
アスファルト路面の特徴
アスファルトとは、原油を蒸留した時に発生する物質のことで、ビチューメン(瀝青材料)ともいいます。これは加熱することで接着性の高い素材になります。工事では、150度前後まで加熱したアスファルトを敷いて、ローラー車両などでプレスし、50度前後まで冷ますことで、車両が通れる道路が完成します。コンクリートと比べて施工期間が短く、走行性も良いので、全国的に普及しているのですが、紫外線や外圧によって劣化しやすいという難点もある素材です。
コンクリート舗装に適している路面
アスファルトよりもコンクリート舗装に適している路面には、次のようなものがあります。
坂道の舗装

コンクリートは、デパートの屋上駐車場に続く坂道の路面(スロープ)や、急勾配のある農道など、坂道が多い場所でよく使われています。なぜ坂道では、アスファルトよりコンクリートが多く使われるのか?というと、アスファルトでは、転圧機械が必要になるため、圧力にムラが生じてしまう場合があるからです。そのため、傾斜が16%~20%以上ある急勾配の道では、コンクリートで路面を舗装することが多くなります。
高規格幹線道路や主要道路
トラックのように重量の大きな車両が度々通る道には、耐久性の高いコンクリートがよく使われています。例えば、高速道路のような高規格幹線道路や、国道バイパスなどの主要道路の一部は、コンクリートで舗装されていているところがあります。
駐車場の路面
駐車場は、維持管理コストを大幅に減らすことができるため、コンクリートが使われているところがあります。例えば、土の路面の駐車場なら除草するためのコストや手間が掛ってしまいます。また、コンクリートに比べて劣化しやすいアスファルトにすると、修繕に手間やコストが掛かります。コンクリートで駐車場の路面を施工すれば、それらの手間やコストを減らすことが可能です。
コンクリート舗装工事
一般的なコンクリート舗装工事は、アスファルトよりも養生期間が長く、完全に硬化するまで最低でも30日以上を目安とします。工事完了までに時間が掛かるので、一般道ではアスファルトの方が多く普及していますが、頑丈で長持ちしやすいのがコンクリートの優れたところです。コンクリート舗装工事では、生コンが乾くまでに仕上げまでを行う必要があるので、それぞれの工程をスムーズに進めていく必要があります。
コンクリート舗装の手順
ここでは、コンクリート舗装工事の基本的な流れについて、説明しています。一般的なコンクリートの路面を造る工事では、型枠を設置して、その中に生コンを打設します。路盤整正からコンクリ―ト打設、締め固め、仕上げ、養生まで、複数の工程を挟み仕上げていきます。
路盤の整正
路面の凸凹を平らにする作業です。平らにした後は、転圧機のコンパクタを使って締め固めていきます。路盤が弱い場合は、砕石を敷いて基礎地盤を作っていき、補強をしなければなりません。砕石をする時には、地面を掘り、10㎝程度を目安に敷き詰めて締め固めを行います。
型枠の設置

生コンを流し込むための、型枠を設置していく工程です。道の勾配やコンクリ―トの厚みを考慮して設置していく必要があります。 型枠を設置したら強度を高めるために、ワイヤーメッシュという鉄筋を敷いていくのですが、型枠のちょうど中間ぐらいに設置するのが目安です。
コンクリートの打設と均し作業
生コンを打設する工程です。生コンを打設したら、枠の高さに合わせて敷き均していきます。
コンクリートの締め固め
コンクリートを締め固めていく作業です。バイブレーターという機器をコンクリートの中に差し込み、まんべんなく振動を加えることで、生コン内部の気泡を逃がして密度を高めます。気泡があると、そこから亀裂が入ってしまいますので、そうならないようコンクリ―トを強度を高めるのに必要な工程です。バイブレーターで内部振動を与える時間は大体5秒~15秒で、与えすぎるとコンクリートに配合されている骨材が沈んでしまいますので、細心の注意を払って作業を行います。
フロート仕上げ
締め固めた生コンの表面を、フロートやハンドタンパを使って滑らかな平面にしていきます。フロートとは、コンクリートの表面を滑らかに整地する用具のことです。施工規模が小さければ、仕上げゴテを使って表面を滑らかにしていく場合もあります。
粗面仕上げ
コンクリートの表面が滑らかな状態のままだと、スリップしやすくなります。そのため、ほうきを使って横方向になぞり、表面を粗く仕上げていきます。
水を散布して養生
水を撒いて養生をします。コンクリートは、セメントと水で硬化反応を起こすので、表面に水がある方が状態が良くなります。コンクリートが完全に固まるまでは、最低でも30日以上掛かります。
完成
養生期間を経てコンクリ―トが固まったら、工事は完成です。養生を撤去して点検作業に入ります。
コンクリ―トの滑り止め工事
コンクリート路面は、そのままだと透水性が低いため、雨が降ると路面が滑りやすくて危険です。そのため、次のような滑り止め加工や工事を施す場合もあります。
真空コンクリート工法
真空コンクリート工法は、強度が高く、滑りにくいコンクリート路面を造る工法です。工事では、打設したコンクリートの路面に真空マットを敷き、真空ポンプを使って減圧します。そうすることで、コンクリート内部の余剰水分を脱水することが でき、締め固めも同時に行われていきます。真空コンクリート工法で施工されたコンクリート路面は、通常の路面よりも圧縮強度が高くなり、耐摩耗性の高い路面に仕上がります。また、この工法を用いることで、本来なら30日間以上の養生期間をみなくてはいけないコンクリート舗装工事が、1週間前後という短期間で完成するというメリットがあります。
ノンスリップ輪型工法
真空コンクリート工法と合わせて行う施工が、ノンスリップ輪型工法です。輪型リングというものを打設したコンクリートの上に配置して、その上から真空マットを敷き、真空ポンプで減圧処理をします。路面にリングの跡を造ることで、滑りにくくする効果が期待できます。
路盤築造工事

路盤築造工事とは、道路の基礎部分になる、頑丈な地盤を造る工事のことです。盛り土で形成される路体を最下層とし、その上に砂で形成されている路床が置かれ、さらにその上に路盤が築造されます。この路盤の上 にアスファルトの基層や表層が築造されて、道路となる仕組みです。ちなみに、国道の場合は、表層と基層の間に中間層を設けて厚みを持たせてさらに頑丈にしています。また、国道バイパスのように交通量の多い道路では、路盤を路盤をそれぞれ複数に増やすことで、耐久度を強化するケースもあります。
路盤築造工事の手順
路盤築造工事の流れを説明しています。路盤には、下層路盤と上層路盤の2つの層があり、それぞれを別に施工していきます。道路を新しく作る工事では路体や路床からの築造を行い、道路の修繕工事では、古い道路を掘削してから新しい路盤を敷き、アスファルトを施工していきます。
路床工事
道路の土台ともいえる、路床を造っていく工事になります。一番深層を支える路体は盛り土で形成されていますが、路床を構成するのは砂です。路床用の砂を搬入後、ブルドーザーやモーターグレーダーなどの整地作業用重機で砂を均一に敷き、締め固めていきます。
路盤工事
路盤は、路床の上に形成する層です。下層路盤と上層路盤があり、この部分を造っていく工程になります。この路盤がしっかりしていないと陥没の原因になりますので、注意をして作業を行います。
下層路盤
まずは、路床の上にある下層路盤についてですが、この部分にはクラッシャーランという路盤材を用います。クラッシャーランとは、いわゆる砕石のことで、これを路床の上に敷き詰めて、転圧して平坦に締め固めていきます。
上層路盤
下層路盤ができたら、今度はその上の層に上層路盤を築造していきます。上層路盤に使う路盤材には、粒度調整路盤が用いられます。これは砕石の粒を一定の大きさに揃えた路盤材で、締め固めた時にクラッシャーランよりも隙間ができにくく強度が高いのが特長です。これを下層路盤と同じように上層路盤に敷き詰めて、締め固めていきます。
アスファルト乳剤の塗布
上層路盤に塗布される乳剤は、プライムコートといい、上層路盤と基層アスファルトを接着する作用があります。路盤が築造された後、アスファルトを施工する時にこの乳剤が使われます。ちなみに、基層アスファルトと上層アスファルトの間には、タックコートと呼ばれるアスファルト乳剤が使われます。プライムコートが砕石 とアスファルトを接着する効果があるのに対して、タックスコートは、アスファルト同士を接着して安定させる乳剤になります。
アスファルト乳剤のその他の作用
アスファルト同士、もしくはアスファルトと砕石を接着するのが乳剤を使う目的ですが、他にも効果があります。それは、雨が降った時に路盤が削れてしまうのを防ぐ効果や、内部に水が浸透するのを防ぐ効果、また、路盤下部から毛細管現象によって水が上がってくるのを防ぐ効果です。乳剤を塗布する前には、乳剤散布量試験を行って量を調整します。
ブロック舗装工事

ブロック間の隙間に砂を充填することによって、荷重分散効果を高めた工法をインターロッキングブロックといいます。日本国内では、歩道や車道、建築外構など様々な場所で施工されていて、バリエーションが豊富なブロックの形状やカラーリングを組み合わせることで、デザイン性の高い舗装環境を造ることが可能です。
ブロックの種類
公道でよく使われている、舗装用ブロックの種類の一部を紹介します。
リサイクルブロック
建築用骨材やガラスくず、上水汚泥、溶解スラッグなどを資源リサイクルしたブロックです。通常のコンクリートブロックよりも滑りにくく頑丈に作られています。また、保水性も高いので水たまりができにくいのも特長です。このリサイクルブロックは、公園や歩道などの公道でも広く施工されています。私たちがよく見る、ブロックで舗装された歩道は、大抵このリサイクルブロックが使われています。
植生用ブロック

デパートや図書館など、公共施設でよくみられる、ブロックのつなぎ目から芝生が生えているのが植生用ブロックです。これには、環境緑化効果があると共に、制度上のメリットとして緑被率を向上して、緑地として算入できる利点があります。これは、敷地面積に対して一定割合を録化しなければならない、「緑化地域制度」が対象になる地域での施工に適しています。
保水性 透水性ブロック
ブロックの保水性を高める加工を施したものです。ブロックに含まれる水分が日射によって蒸発することで、気化熱の作用が起こり路面温度を抑制します。これは、ヒートアイランド現象の抑制にもつながる作用です。ブロックの内部は多孔質な状態で形成されており、スポンジのように水分を含みつつも、余剰水分は地中に戻す働きがあり、地下水保全の効果も期待できます。
ブロック舗装工事の手順
ブロック舗装工事の手順を説明します。基本的な流れは、整地作業、路盤築造、必要な処理、ブロックの敷設という手順になっています。排水処理、端部処理、目地工事等が必要になります。
事前調査
路床や路盤の状態を調査して、マンホールなどの付帯設備の有無、勾配の確認を行います。実際に工事に入る前に、施工するブロックの平面設計図を作成します。
整地作業
路床部分を整えて平らにしていく作業です。この上に路盤の層を築造していくため、しっかりと路床部分の砂を締め固める必要があります。路床をしっかりと造ることで、不陸などの不良個所の発生を防ぐことができます。
路盤工事
路床の上に砕石を敷き、締め固めていく作業です。この路盤の上に、最終的には砂を敷いてブロックを敷設していきます。路床と同じく、ブロック舗装の 基礎土台になる部分ですので、頑丈に締め固める必要があります。
端部拘束
ブロック舗装の端部には 、プレキャストコンクリートと呼ばれる製品を設置して、ブロックがずれないようにします。このコンクリートには、現場打ちのコンクリートを使用する場合もあります。
排水処理